高松地方裁判所 平成5年(わ)35号 判決 1993年5月13日
本店所在地
高松市林町一一七二番地三
株式会社日建商会
(右代表者代表取締役 落合公昭)
本籍
香川県仲多度郡仲南町大字十郷字買田七七六番地
住居
高松市木太町三〇五二番地二四
会社役員
落合公昭
昭和一五年六月二六日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官福嶋成二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社日建商会を罰金一四〇〇万円に、被告人落合公昭を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人落合公昭に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社日建商会(平成三年五月三一日以前の組織・商号は有限会社日建商会)は、高松市林町一一七二番地三に本店を置き、耐火被覆工事業等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成二年一一月二八日以前の資本金は二〇〇万円であり、平成三年三月一〇日以前の資本金は五〇〇万円)の株式会社であり、被告人落合公昭は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人落合は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上して簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二六四八万八〇三九円であったにもかかわらず、同年五月三一日、高松市天神前二番一〇号所在の所轄高松税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四三四万八二七九円でこれに対する法人税額が一二五万七二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一〇一一万七八〇〇円と右申告税額との差額八八六万〇六〇〇円を免れ、
第二 平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二四四四万三〇五七円であったにもかかわらず、同年五月三一日、前記高松税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が九〇万一三〇四円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額八八二万七〇〇〇円を免れ、
第三 平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八三〇三万四〇六二円であったにもかかわらず、同年五月二八日、前記高松税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二七七万五五九六円でこれに対する法人税額が六三万五三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三〇二三万六一〇〇円と右申告税額との差額二九六〇万〇八〇〇円と免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実の全部について
一 被告会社株式会社日建商会代表者代表取締役落合公昭の当公判廷における供述
一 被告人落合公昭の当公判廷における供述
一 被告人落合公昭の検察官に対する供述調書二通
一 被告人落合公昭作成の申述書三通
一 宮崎勝、橋本勇、天羽正及び谷本弘の検察官に対する各供述調書
一 明石修治(二通)、落合恵子、大山京子及び左光幸男の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 検察官作成の捜査状況報告書
一 検察事務官作成の「捜査報告書(アモウ脱税分)」と題する書面
一 大蔵事務官作成の完成工事高調査書、材料費調査書、労務費調査書、外注費調査書、現場経費調査書、現場消耗品費調査書、運賃調査書、賃借料調査書、給与手当調査書、福利厚生費調査書、修繕費調査書、接待交際費調査書、公租公課調査書、事業税調査書、受取利息調査書、支払手数料調査書、役員退職金調査書、損害の額に算入した県民税利子割額調査書、交際費の損金不算入額調査書及び繰越欠損金否認調査書
一 被告会社株式会社日建商会の定款(謄本)及び登記簿謄本
判示第二、第三の各事実について
一 検察事務官作成の「捜査報告書(工事用機械購入費分)」と題する書面
判示第一の事実について
一 安田純子及び落合甲子男の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 検察事務官作成の「捜査報告書(落合甲子男給料分)」と題する書面
一 大蔵事務官作成の領置てん末書
一 押収してある有限会社日建商会法人税確定申告書(事業年度が昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までのもの)一綴(平成五年押第八号の1)
判示第二の事実について
一 横山清の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 検察事務官作成の「捜査報告書(自宅改修工事費分)」及び「捜査報告書(浄化槽切替工事費分)」と題する各書面
一 大蔵事務官作成の領置てん末書
一 押収してある有限会社日建商会法人税確定申告書(事業年度が平成元年四月一日から平成二年三月三一日までのもの)一綴(平成五年押第八号の3)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の領置てん末書
一 押収してある有限会社日建商会法人税確定申告書(事業年度が平成二年四月一日から平成三年三月三一日までのもの)一綴(平成五年押第八号の4)
(法令の適用)
被告会社株式会社日建商会との関係では、判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一四〇〇万円に処することとする。
被告人落合公昭の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人落合を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 竹野下喜彦)